2005年12月新譜情報(12月7日発売) ■モーツァルト フォルテピアノデュオ 渡邊順生・崎川晶子(フォルテピアノ) ALCD-1073 税込価格¥2,940(税抜価格¥2,800) レコード芸術誌特選盤 モーツァルト: 2台のピアノのためのソナタ ニ長調 KV448 四手連弾のためのアンダンテと5つの変奏曲 ト長調 KV501 2台のピアノのためのラルゲットとアレグロ 変ホ長調 KV6 deest 四手連弾のためのソナタ ヘ長調 KV497 モーツァルトの鍵盤作品のなかでも、比較的とりあげられる機会の少ない2台ピアノ&連弾作品。しかし、それらの作品は、協奏曲にも匹敵するスケールの大きさをもっている。繊細なニュアンスを表現可能にする18世紀末のフォルテピアノ2台を使った、画期的なモーツァルトが登場! ●モーツァルトの響きの世界に無限に近く肉迫する ──異色のCDを聴いて── 海老澤敏 渡邊順生さんはまことにユニークな鍵盤奏者である。優れた演奏技術とまた深い知識を兼ね備えつつ、2世紀も3世紀も前の遠いクラヴィーア音楽の遙かな世界を一瞬のうちにおのれのものとする。古いはずのチェンバロやフォルテピアノは彼にとってはまことに身近か現代の楽器なのだ。今回の崎川晶子さんとの《ピアノデュオ クラヴィーアの歴史と名器?》でも、この印象はますます鮮明、否、鮮烈でさえある。フォルテピアノなる楽器に関する該博な知識に裏づけられたそのモーツァルト演奏は、おそらくは初めての聴き手をたじろがせるにちがいない。だが、しばらくすると、いや、すぐにもその響きの只中に、モーツァルト、そう、このCDの主人公のモーツァルトが微笑みを浮かべながら、姿を見せるかのような思いに誰でも捉えられることだろう。そうだ。2006年のモーツァルト、彼の生誕250年の記念すべき年に、この渡邊順生さんと崎川晶子さんの息の合ったピアノデュオにまずなによりも先に聴き入ろう。 ■フランス バソンII 〜バロック音楽とバソン〜 小山清(バソン)野平一郎(クラヴサン) ALCD-3075 税込価格\2,940(税抜価格¥2,800) マレ (1656−1728):5つの古いフランス舞曲 ヴィヴァルディ(1678-1741):ソナタ 第5番 ホ短調 テレマン(1681-1767) :ソナタ ホ短調 ガイアール (1687-1749):ソナタ 第5番 ニ短調 コレット(1709-1795):バソンと通奏低音のためのソナタ ニ短調 op.20-2 クープラン(1668-1733):ピエス・アン・コンセール ボワモルティエ(1689-1755) :バソンとクラヴィーアのためのソナタ第5番 ト短調 ドヴィエンヌ (1759-1803):バソンと通奏低音のためのソナタ第3番 ヘ長調 op.24 録音:2005年5月10-11日 彩の国さいたま芸術劇場 バソンの第一人者として、ソロ活動を通じてフランスバソンの啓蒙、普及に努める小山清のバソン・アルバム第2弾は、あえて“バロック”。バソンのオリジナル曲の他、ガンバやチェロ用に書かれたバロックの巨匠たちの作品も、バソンの柔らかい響きで新たな魅力を見せてくれます。野平一郎の天真爛漫なクラヴサンも聴きもの。 ■ヴィオリーノ・アフェットゥオーソ 島根恵(ヴァイオリン)遠藤直子(ピアノ) ALCD-9059 税込価格¥2,940(税抜価格¥2,800) エックレス:ソナタ ト短調 コレルリ:ラ・フォリア クライスラー:ラルゴ・エスプレッシーヴォ ヴェラチーニ:コンチェルト・ソナタ ホ短調 ヘンデル:ソナタ ニ長調 作品1-4 1981年ヴィエニアフスキ国際ヴァイオリン・コンクール6位入賞、1987年日本モーツァルト音楽コンクール優勝の他、作曲や編曲など幅広い活躍を見せる島根恵。中期〜後期バロックのヴァイオリンの名曲を集めたアルバム。コレッリのラ・フォリアなど、ヴァイオリン学習者なら誰もが学ぶべき作品ばかり。指導者としても精力的に活動する島根ならではの選曲。 ■一衣帯水 田大成 中国&日本・名歌集 田大成(テノール)前田勝則(ピアノ) ALCD-9058 税込価格¥3,000(税抜価格¥2,857) 1.趙元任:どうしてあなたを思わずにいられようか 2.黄自:望郷 3.黄自:バラの三つの願い 4.王洛賓、陳田鶴(編曲):あの遥か遠いところに 5.丁善徳(編曲):太陽が昇り、喜び溢れる 6.王洛賓、黎英海(編曲): 銀色の月光の下 7.崔希賢(編曲):牧歌 8.黄自:花のようだが花ではない 9.王立平:海よ、故郷 10.滝廉太郎:荒城の月 11.滝廉太郎:花 12.中田喜直:夏の思い出 13.中田喜直:むこう、むこう 14.坂本良隆:浅間の馬子 15.杉山長谷夫 :出船 16.越谷達之助:初恋 17.平井康三郎:山は雪かよ 18.山田耕筰:からたちの花 19.山田耕筰:この道 20.多忠亮:宵待草 日中両国で活動し、西安の陝西師範大学音楽学部長を務める田大成が満を持して贈る「中国&日本・名歌集」。日本ではほとんど知られていない中国歌曲と「荒城の月」などおなじみの日本歌曲を収録。「アジア」を感じさせるアルバム。 田さんの解釈はイタリア、フランス、ドイツ、日本……と様々な国々の歌の美意識を頭と体で十分に吸収した上に練り上げられたものだから、それぞれの歌を生んだ中国の原光景を踏まえながらも、より普遍的に、日本人の耳へ語りかける術を心得ています。一方、中国の大地に根ざした骨太の声と感性で日本歌曲が奏でられると、汎アジア的DNA(遺伝子)が日本人である私たち自身が今まで知覚できなかったほど濃く浮かび上がり、音楽の空間も狭い四畳半から広い音楽堂へと解き放たれる気がしました。(池田卓夫=日本経済新聞社文化部編集委員)